キッズプレート、パスタおかわり

プログラミングやデジモノについてあれこれ
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2006.04.02 13:23|カテゴリ:エッセイコメント(0)


 私の家では昔、鶏を飼っていた。鶏を飼っていたといっても養鶏のようにでかいわけではなく。10羽ほど飼っていただけである。大きな鶏小屋がありその中に入り込んでは卵をとっていた。
 あれは私が幼稚園の頃のことだ。私は一人で「古い家」に行った。
 私の実家には家が2軒あった。古い家と新しい家である。古い家というのは私のおじいちゃんとおばぁちゃんが住んでいた家で、私もその家ですごした記憶がかすかに残っている。新しい家というのは私の父親が建てた家のことだ。この2軒の家の間にはちょっとした坂道があり、完全に分離されている。古い家のほうはすでに使われておらず、物置になっていた。この物置と化した家が私には魅力的だったのである。
 家の中は騒然としており、一見ごみの山に見えた。まぁ最初はきちんとしていたのだが私がごちゃごちゃと遊んでいるうちにごみの山になってしまったのだ。このごみの山が当時の私には宝の山に見えていたのだ。実際、宝の山だった。
 その、ガラクタの中には私の父が愛用していたおもちゃが隠されており、私も全部を把握しきれない程だ。父は4人兄弟の長男で弟1人に妹2人の構成で育ってきた。その4人分のおもちゃがうまっていたのである。さらに私の上には姉が2人いるので使い古しのおもちゃは随時この物置に追加されていた。ブリキのおもちゃはもちろん、今ならコレクターがよだれをたらしそうなキャラクター物までたくさんあった。タイムボカン、仮面ライダー、ウルトラマン。ひときわ私の記憶に残っているのはでっかいビニール人形だ。たしか、グレートマジンガーだったと思う。これがでかい。当時の私の座高より高い。おそらく70~80センチはあったのではないだろうか。しかも腕のところがミサイルになっていてロケットパンチがはなてる。すばらしい、感涙ものだ。昔の漫画もたくさんあった。なかでも私が好きだったのがウルトラマン。最近みつけてついつい購入してしまった。当時の思い出が蘇っていい感じだ。
 さて、この古い家にはもうひとつ重要な要素があった。実は、この古い家の裏で鶏を飼っていたのだ。先ほど話した大きな鶏小屋というのは後で父が作ったもので、始めのうちはこの古い家の裏で放し飼いにしていた。家の裏は鶏がバサバサと飛び交う無法地帯と化していたのだ。
 私は古い家に進入し、いつもどうりがらくたをあさって遊んでいた。新しいおもちゃ・漫画をさがしてガチャガチャ、ガチャガチャ。たまにネズミの糞なんかがあったりするが気にしない。ガチャガチャ、ガチャガチャ。たまにゴキブリの卵があるが気にしない。ガチャ、ガチャ、
「おっ! 発見。あはっはっはっは。これは? なんだリカちゃんか」
 といった具合に遊んでいたのだ。まぁ当然ながらそのうち疲れる。たくさんのがらくたをあっちへこっちへ、上へ下へと動かしているので体力を消耗。そのうち、
「ぐへぇ~」
 となってしまう。
「疲れたなぁ。そろそろ帰るか」
 そう思った私に悪魔の声がきこえた。
「クォ~、コッコッコ」
 鶏だ、
「バサッ! バサッ!」
 なんだか騒がしい。普段私は、おじいちゃんと一緒に卵をとる時以外は臭いため鶏にはあまり近よらない。ところがこの時、私は好奇心に負けてついついふらふら見に行ってしまったのである。
 私は家の裏にまわり鶏たちのもとへと近寄った。
「クケェー! コッコッ! クケッ!」
「バサッ! バサッバサッ! コケッ!」
 どうやら雄の鶏同士が喧嘩しているようだ。なにが原因かわからないがあたりには羽毛が飛び散っている。私はもう少しよく見ようと思って、さらに接近した。
 2羽の鶏は激しくどつきあっている。片方の雄はこの鶏達の中で一番大きく、おそらくこの平岩鶏一家のボスであろう。もう片方の雄は若手のホープといったところだろうか。きっと群れのリーダーをねらって勝負をしかけたにちがいない。私はでかい方をボス、若手の方をサブと呼ぶことにして、鶏の喧嘩をしばし眺めることにした。
 やはり、ボスは強い。サブは全然相手になっていない。ボスの右足でぼこぼこにされている。一方サブは喧嘩を仕掛けたもののこの様子では後悔しているであろう。羽毛を散らしながら必死で逃げ回っている。後悔先に立たずとはまさにこのことだ。ちょっと、仕掛けるのが早かった。若さ故の過ちであろう。
「大丈夫かなぁ?」
 ボスの攻撃はすさまじくサブの白い身体は一部赤く染まっている。当時まだ優しい心を持ち合わせていた私はふと、
「なんか可哀想だな。ん? まてよ喧嘩をしかけるということはこの群のナンバー2。次代をになう期待の星だ。こんなところで死んでもらっては困る。」
 私は慈悲と妙な責任感にかられサブを助けてやることにした。喧嘩の仲裁をかってでたのである。
「バサッバサッバサッ。」
 ボスは執拗にサブを追いかけている。私はサブの逃げる方向を確かめタイミングをはかると間にわって入った。
「こら、やめろ!」
 両手を広げてボスの進路をふさぐ。ボスは立ち止まり少し後方に退いた。サブは私の後ろでちょろちょろして様子を伺っているようだ。
「おまえは・・・もういいだろう! やめなさい!」
 金八風味の台詞が口からでてくる。鶏も臭いが私もくさい。これで鶏が心うたれ、仲良くなったら三流ドラマだ。監督も、
「やってられっか」
 と、メガホンを投げるであろう。まぁ、おおかたの予想どうり鶏が心打たれるわけもなくボスは別の行動にうつった。
「コケェ~!」
 なんとボスは両翼を思い切り広げると私めがけて突進してきたのだ。
「へっ?」
 私はあっけにとられた。あまりの事態に状況が把握できなかったのだ。
 ボスの体長は約90センチ。幼稚園の私とそんなにかわらない。両翼を広げれば幅1mはかたいであろう。縦横あわせて私の2倍の面積である。私は恐怖した。
「で、でかい・・・」
 今までの暮らしの中で人間を襲う鶏など見たことがない。しかし今、目の前に私へと向かってくる一羽の鶏がいる。
「なんなんだこいつは鶏のくせに人間様に刃向かうのか・・・助けてぇ~!」
 心の中で叫んでいた。恐怖にかられた私の目にいっそう、でかく見えるボス。急速に距離を詰め近づいてくる。
「コォー、コッコッコッコ」
「おいおい、待てよ話せばわかるだろ」
 鶏は話せない。私はサブの方を見た。
「一人と一羽。協力してボスを倒そうじゃないか。」
 しかし、サブはいない。鶏に人情などないのだ。見ると、かなり離れた安全な場所でミミズをついばんでいる。
「ぶっ殺す」
 私の心に殺意が芽生えた。さっきまでの慈悲の心などどこかに飛んでいる。今頃ブラジルあたりだろう。人の心の移り変わりは激しいのだ。
「バサッバサッ! ダッダッダ!」
「うわぁ~!」
 ボスが寸前まで迫ってきる。サブなどに気をとられている暇など無い。すぐそこだ。もう私に残された選択は一つだけ。三十六計逃ぐるにしかずである。私は必死で逃げようとした。しかし、身体が動かない。恐怖で足が固まっているのだ。蛇に睨まれた蛙の気持ちがよくわかる。そして私が蛙の気持ちを理解していたその時、ボスはすごい形相でつっこんできた。
「もうだめだ、先立つ不幸をお許しください・・・」
「クケェー! バサッ、バサッ、バサッ!」
 ボスはかろやかにジャンプすると私に向け跳び蹴りをしかけてきた。
「ガシッ!」
「うわっ!」
 私はとっさに左腕で蹴りをなんとか防ぐ。しかし、この全体重を乗せた跳び蹴りで私は体制を崩し片膝をついてしまった。ボスは容赦なく私を襲う。
「バシッ、ドカッ」
「うきゃぁ~、やめてぇ~」
 この言葉は虚しく空を舞う。
「なんだ。ばかっ。うわぁ~ん」
 ついに私は大声で泣き出した。ボスの連続攻撃に精神的にも肉体的にもグロッキーだ。反撃の意志もまったくなくなっている。心の中では白旗がフル回転しながら武田鉄矢の「あんたが大将」をボスに向かって歌っている。
「あんたが大将、あんたが大将・・・」
 ところがこんな私に極悪非道なボスは決定的な攻撃をくわえる。
 倒れた私にゲシゲシ蹴りをくれていたボスは突然距離を取った。私はボスが離れた隙をつき、泣きながらようやく立ち上る。ところがボスはこれを狙っていたのだ。立ち上がったわたしの膝に、
「ツトトトトトトトトッ!」
「うわぁ~~!」
 なんとくちばしでつついてきた。その痛さといったら半端じゃない。紐をつけた強力な洗濯バサミを膝全体にまんべんなくくっつけ、一斉に引っ張ったような衝撃だ。これでは加トちゃんも笑ってられまい。きっと泣き叫ぶはずだ。私の膝には無数の小さな傷ができ、血がしみだしてきた。
「うわ~ん!」
 泣き叫ぶ私。襲うボス。その時である。
「こらぁー!」
 坂の上から誰かがやってきた。お爺ちゃんだ。
「あぁ、お爺ちゃん。あんたぁ、最高だよ」
 夕日を背に坂をおりてくるお爺ちゃんが私には正義の味方に見えた。
「この、バカ鳥がぁ!」
 お爺ちゃんは両手を振り回しボスを追い払う。さすがのボスもお爺ちゃんにかかってはひとたまりもない。バサバサと慌てて退散した。
「よかったよぉ~、このままボスに食べられるかと思った。」
 私は泣きながらそんな事を思った。安心すると一層泣けてきた。涙がとまらない。お爺ちゃんは泣いている私を抱えると新しい家まで抱えていってくれた。ありがとうお爺ちゃん。
 しかし、サブめ。せっかく助けてやったのにこれをねらっていたのか? だとしたらとんでもない鶏だ。この事件のせいでボスはきっと明日には殺され唐揚げになってしまうだろう。そうなればボスの座はサブのものだ。ボスも私も奴におどらされた哀れなピエロである。だが、私を襲ったボスも許せない。あいつが私を襲わなければこんなことにはならないでサブがいじめられただけですんだのだ。利権におぼれた鶏めどうしてくれよう。
 次の日、一日では到底食べきれないほどの唐揚げが食卓にならんだ。
「はっはっは」
 私は喜んで空揚げをほおばる。テレビでは野生の王国というテレビ番組がちょうど放送されていた。自然の摂理についてあれこれと話しているようだ。
「ふ~ん自然の摂理ねぇ・・・ん? まてよ、私があの時見守っていればよかっただけなのではなかろうか? お互い鶏世界のルールにしたがって正々堂々と勝負をしていただけなのではないだろうか?」
 そう思うと私の箸はとたんに重たくなった。
「自然のルールに手出しをしてはいけないなぁ・・・」
 少し塩味のきいたご飯を食べながら、そう感じた私なのであった。

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